正確には、「ハイブリッドクローズドループ」と言われています。
新しいインスリンポンプ(ミニメド770G)のケアリンクデータ
2022年より日本でもメドトロニック社の新しいポンプが使用できるようになっています。
このポンプのメリットと注意すべき点が明らかになるのはもう少し先になると思いますが、この3ヶ月間使用して感じたことを少しお話ししたいと思います。
センサグルコース値に加えて、ボーラスインスリン量(青のバーと吹き出し)、摂取した炭水化物量(オレンジの吹き出し)、基礎インスリン注入量(ピンクのギザギザ)などが一目でわかる表になっています。

770Gでは基礎インスリン注入の自動調整により夜間血糖が改善する
寝る前の血糖が高くても、その後朝までに血糖値が120mg/dL付近までゆっくり下がっていきますね。
ハイブリッドクローズドループは、特に夜間の血糖コントロールに絶大な力を発揮します。
夜間の基礎インスリン量を調整したり一時基礎レートを使用しても十分に改善しなかった夜間の高血糖や低血糖が、770Gに変更することにより改善するのをよく経験します。
基礎インスリンの注入量(ピンクのギザギザ)を見ていると、センサグルコース値による注入量の差がかなり大きいことがわかりますね。
手動ではこのように分刻みで大胆にインスリンを変更することは不可能ですね…。
770Gの基礎インスリン自動調整は食後の一時基礎レート機能も兼ねる
赤枠で囲ったところでは、食後2時間頃に基礎インスリンが増量されています(②)。

昼食時にボーラスインスリンが投与されていますが、ボーラスインスリンによる食後の血糖低下が不十分な場合はこのように即座に基礎インスリンが増量されています。
640Gまではユーザーが自身で行っていた一時基礎レートの代わりですね。
もうひとつ驚きなのは、センサグルコース値が高い時にはこのように基礎インスリンが大幅に増量されるのにもかかわらず、ほとんどすべての人で1日総インスリン量(TDD)は不変もしくは減っていました。
770Gに変更することにより血糖値に応じてインスリンがどんどん注入され体重が増加してしまうのではないかと懸念していましたが、全くそんなことはなさそうです。
インスリン投与量が最適化されTDDが減少すれば、かえって体重コントロールも行いやすくなると思います。
◆較正回数の増加
センサグルコース値によりインスリン注入量が調整されることの安全性担保のため、高血糖時、低血糖時や最低/最高基礎インスリン注入が続いた時などはそのたび較正を求められます。
このため640Gよりも較正を求められる頻度が増加することが多いです。(要較正を一定時間無視すればオートモードが切れてしまいます)
◆770Gの目標血糖値は120mg/dL
目標血糖値を120mg/dLとして基礎インスリンが調整されるため、もともとHbA1cが極めて良い人(5%台~6.3%くらい?)では770Gに変更してもHbA1cが変わらない(もしくは少し上がってしまう)場合があるかもしれません。
まだまだわからないことがたくさんありますが(基礎インスリンの細かいアルゴリズムもよくわからないし…)、画期的な機器であることは間違いないと思います。