(モッさんなんか寝てばかりのくせに…)
さて、糖尿病患者さんがコロナウィルス感染症にかかると重症化しやすいという報告を以前に紹介しましたね。
もうひとつ、肥満があると重症化しやすいということも少し前からわかってきています。
では、どれくらいの肥満で重症化しやすいのかということについて、かなり多くの患者さんのデータより調べられた研究が先月発表されていましたのでご紹介します。
さらに、「2型糖尿病」で、「肥満」の患者さんでは、重症化リスクが特に上がってしまうのか?という疑問に対してのデータも少しご紹介したいと思います。
イギリスのデータベースを用いた研究です。
Cox比例ハザードモデルにより、対象者におけるCOVID-19感染による入院、ICU入院、死亡とBMIとの関連が調べられました。(本日は死亡とBMIの関連についてのみご紹介します。)
さらに、様々な背景(年齢、性別、人種、2型糖尿病の有無、併存疾患など)に分けて、同じ検討が行われました。
対象者(6,910,695人)のうち、2020年1月から4月までに13,503人 (0·20%)がコロナウィルス感染症により入院、1601 (0·02%)人がICUに入室、5479 (0·08%)人が死亡しました。
下は、BMIにおけるコロナウィルス感染症による死亡のハザード比(危険率)です。
BMI23の対象者のハザード比を1としています。
J字カーブになっており、BMI20以下、または30を超えるあたりから死亡率が上がっていく感じです。
では、糖尿病患者さんでも同じことが言えるのでしょうか?
下図は、様々な背景において、BMI23からBMIが1上がった時の死亡率増加の危険度(ハザード比)を見たものです。
まず、一番上の赤枠は「年齢」です。
次に赤枠で囲っている部分は「人種」です。
アジア人においては白人よりもハザード比が高く、BMI上昇によるリスクが高いようです。
3つめの赤枠、「2型糖尿病」においては、糖尿病があってもなくても、肥満は同程度に死亡リスクを上げるという結果でした。
論文中の他のデータも併せて考えると、「2型糖尿病」と「肥満」はそれぞれ独立して重症化や死亡リスクを上げるようです。
Associations between body-mass index and COVID-19 severity in 6·9 million people in England: a prospective,community-based, cohort study.Lancet Diabetes Endocrinol. 2021