みんなどれくらいの単位数を注射しているの?
1型糖尿病の皆さんは、「私が注射しているインスリン量(単位数)って、他の人と比べて多いのかな?少ないのかな?」と思ったことはないでしょうか?
今回、ペン型インスリン注射で治療中の日本人1型糖尿病患者さんのインスリン量を調べた研究結果が報告されていましたのでご紹介します。
1型糖尿病患者さん67人をまとめた報告です。
患者さんの平均年齢は52歳(罹病期間8年)で、そのうち42%が女性、平均BMIは22でした。
対象者は入院のうえ決まったカロリーの食事を提供され、眠前と朝食前血糖の差が30mg/dL未満になるように基礎インスリンが調整され、毎食前血糖<140mg/dL、食後2時間血糖<200mg/dLとなるように追加インスリンが調整されました。
食事:標準体重×25~30kcaL/日(うち炭水化物50%)の入院食
1日総インスリン投与量は平均33単位、うち基礎インスリン(グラルギン、ランタスXR、トレシーバ、レベミルなど)は平均7単位、追加インスリン(食事のためのインスリンと補正インスリン)は平均26単位でした。
このTBD/TDD比、欧米人では50%くらいと言われていますが、日本人ではだいたい30%くらいと報告されています。
ただし、この「30%」はインスリンポンプで治療中の患者さんで調べられた研究でした。
今回はインスリン注射で治療中の患者さんにおける研究ですね。かつ、今回の患者さんの平均BMIは22です。
このTBD/TDD比について、私も概ね同じくらいの印象です。(ポンプで30~40%、ペンで25~35%くらいでしょうか…)
モッさんが言う通り、%TBD/TDDの点を見ると、10~50%のあいだでかなりばらついています。
結果は、、
BMIが大きい人と若い人で、TBD/TDD比が大きくなるという結果でした。
肥満気味の人と若い人では、基礎インスリン量が多めになるということですね。
BMIが大きい人ほど、肝臓でのインスリン抵抗性が上がり、夜中に血糖を一定に抑えておくためのインスリン量がより多く必要になるため、基礎インスリン(TBD)が多くなるのだと考えられます。
基礎インスリンの必要量は、思春期で最も多く、その後だんだんと減ってくることが知られています。
真夜中から朝方にかけての成長ホルモンや副腎皮質ホルモンの分泌により、朝方に血糖値が上がりやすくなる暁現象が有名ですが、思春期などの若い人では、これらのホルモンの分泌がより強いため、夜中~朝方の血糖を一定に抑えるためにたくさんの基礎インスリンが必要になるのです。
本日ご紹介した論文
Basal insulin requirement is ~30% of the total daily insulin dose in type 1 diabetic patients who use the insulin pump.Diabetes Care. 2011.