※2021年6月作成の記事になります。現在のインスリンポンプの特徴、メリットについては最新記事をご覧ください!(by gajigaji Dr)
ポイント③ あれっ?と思ったらすぐにペンでレスキューする習慣を身につける
ポンプトラブルによるケトアシドーシスです。
ポンプ閉塞後は数時間で体内のケトン体が増加しはじめ、最短で5-6時間も経てばケトーシスからケトアシドーシスになってしまいます。
たとえば、夜に起きたポンプトラブル(閉塞)を放置すれば、最悪の場合、翌朝にはケトアシドーシスで救急搬送されてしまいます。
しかし、ポンプトラブルは本当にわかりにくいのです。
ポンプ閉塞を知らせるアラームはまず鳴らないと思っていたほうが無難です。
ある程度チューブに圧がかかった状態にならないと機器が異常を感知しませんし、インスリンがどこかに漏れていて圧が上がらなければ、そもそも感知されません。
患者さん自身が、血糖値の上昇に気づいて「もしかしてポンプトラブル?」と思いつかなければならないのです。
そのような時は、ポンプトラブルにより血糖値が上がっているのかそうでないのか明らかにするよりも、まず行うべきことはひとつです。
「あれ?予想外に血糖値が上がっていく!」と思ったときに、とりあえずペンで注射する(レスキュー)。
これが、ポンプユーザーが行うべきただ一つのことです。
そのあとに、落ちついてチューブのチェックをしたり、ルート交換を行ったりすればよいのです。
レスキューインスリンさえ打っておけば、(血糖が下がっているかの確認は必要ですが!!)打ったインスリンが効いている2-3時間内であれば、急ぎの仕事や用事を片付けてからゆっくりポンプの確認をしよう、でもOKです。
このために必要なことはひとつ。
ペンをいつも持っておくこと、箪笥の奥にしまい込まないこと!
外出先でもすぐに打てるようにカバンの中に1本は入れておくことが必要です。
(※ちなみに、ポンプ交換時のトラブルに気づきやすいように、ポンプ交換は食前をお勧めします)
ポイント④ 朝方の基礎インスリンの設定にこだわりまくる。
これは1型糖尿病患者さんにも2型糖尿病患者さんにも当てはまることだと思います。
ただし、1型糖尿病患者さんがベストな血糖値で目覚めるのを阻害する因子がいくつかあります。
そのうちのひとつは暁現象です。
朝方に分泌されるホルモンの関係で4~7時頃の血糖値が(なにもしていないのに)勝手に上がってしまう現象です。
このため暁現象に関しては、時間ごとに基礎インスリンの注入量を変えられるインスリンポンプが絶大な威力を発揮するわけですが、逆にポンプを使うからにはこの時間帯(朝方)のインスリンの設定にはこだわり抜かなければなりません。
朝方に血糖がフラットになるように徹底的に設定を調整することがすごく大切です。
インスリンポンプの強みを活かして、朝の血糖値を制しましょう。
ポイント⑤ 一時基礎レート設定を気軽に使う
ポンプの便利な機能のひとつに、「一時基礎レート」というものがあります。
「これから〇時間、基礎インスリンを〇%まで減らす/増やす」という設定ができます。(%でなく投与量での設定も可能)
もちろんほかにも便利な機能がたくさんあるのですが、この一時基礎レートはなかなか優れものの機能です。
うまく使うコツは、気軽に、いつでも使ってみること。
とにかくまめに使って、一時基礎レート設定を気楽に使う習慣を身につけておくのがおすすめです!
ポンプを活かすためのキモは?
ポンプを導入して血糖コントロールを改善させるためのキモは、
まめに設定を変更して、まめに打つことに尽きます。