※2021年5月作成の記事になります。現在のインスリンポンプの特徴、メリットについては最新記事をご覧ください!(by gajigaji Dr)
押さえるべきポイントを知っていないと、インスリンポンプで血糖はよくならない。
インスリンポンプは血糖コントロールを行う上で、とても強力なツールとなります。
インスリンポンプに変更して、もう一歩だったHbA1cが良くなることをよく経験します。
ポンプの長所を最大限活かすためには、必ず押さえておくべきポイントがあります。
そこを理解していないと、せっかくポンプを導入したのに逆に血糖コントロールが悪くなってしまい患者さんも医療者も苦しくなってしまうことがあります。
「押さえておきたいポイント5つ」についてご紹介したいと思います。(前編)
ポイント① 最初が肝心!ボーラスウィザードを使う習慣をつける。
このためボーラスウィザードを使うには、食べるものの炭水化物量のカウントを行い(カーボカウント)ポンプに入力する必要があります。
逆に言えば、カーボカウントしないとウィザード機能が使えないのです。
しかしカーボカウントって、慣れるまでは面倒くさいですよね。
それでも数える習慣を身につけることが重要です。(厳密なカウントでなく適当でも全く問題ありません!)
グラムインスリン比、インスリン効果値、目標血糖値など、最初に機器設定しておけば、食事の時に炭水化物量と血糖値さえ入力すれば投与すべきインスリン量を即座に計算してくれます。あとはボタンを押すだけです。
これを使わない手はありません。
そうかもしれません、そこは否定しません。
何を食べたら血糖がどう上がる、何単位くらいがベストなどの感覚は、毎日毎日インスリンを打っている患者さんが一番知っているのです。
しかし、それでも数えてほしいと思います。
そうしないと患者さんが孤独になってしまう、言い換えればひとりで血糖コントロールに挑まないといけなくなってしまうからです。
医療者や他のサポーターがかかわることができなくなってしまうのです。
「この食事と食前血糖から、感覚で10単位打ちました」だと、その瞬間に会話が終わってしまいますが、「この食事のカウントは70gで、食前血糖が200mg/dLだったから10単位打ちました」であれば、サポーターが一緒に考えることができるのです。
そのメニューの炭水化物量はどれくらいだったか?グラムインスリン比や補正インスリンは患者さんに合っているか?ボーラスパターンや一時基礎、設定見直しが必要か?など、患者さんと一緒に考えることができます。
1型糖尿病のことを誰よりよくわかっている患者さんであっても、他者と一緒に考えることは血糖コントロールを良くする近道になります(必ず)。
そこには必ず気づきがうまれるからです。
ポイント② 患者さん自身でどんどん設定変更を
ポンプの操作自体はスマホが使える人であれば特に問題なく操作できると思いますが、導入してしばらくは、設定変更の部分は安易に触れない人が多いのではないでしょうか。
なにせ設定を変えれば体に入るインスリンも変わるわけで、気軽に自分で設定変更しにくいのは当然ですよね。
導入当初は、「次の受診時に先生に設定を変えてもらおう」となることが多いと思いますが、いつまでも受診時に担当医や医療スタッフに設定を変えてもらう癖がついてしまうと、あるところで血糖の改善が止まってしまうことが多いです。(それでもある程度までは良くなりますが)
誰しも、体調や月経周期(女性の場合)またはバイオリズム的な要因で、インスリン感受性や血糖値は周期的に変動しますので、「血糖値が上がってきた、インスリンが効きにくくなってきた!」と思った時に、「患者さん自身が設定をこまめに変えることができる」ということがとても大切になってきます。
ただし、ポンプの扱いに慣れるまでは、間違った設定変更をしてしまうと命にかかわりますので、主治医の先生と相談しながら最終的には自身で変更できるように練習していきましょう。