やっぱり、どれがおすすめかだけ教えてほしい…
作用時間を変えるために一部の構造を変えてあるのですが、基本的には同じ薬剤です。
血糖低下効果や体重減少効果が一番強いのは、オゼンピック
血糖低下効果や体重減少効果が強い薬剤(用量)は赤字、マイルドな効果は青字で示しています(Gajigaji Dr.の独断と偏見によりますのでご了承ください!)。
血糖低下効果や体重減少効果が一番強いのは、おそらくオゼンピックでしょう。日本では昨年より使用できるようになっている比較的新しい薬剤です。
臨床研究によると、だいたいHbA1cを1.5%くらい低下させるようです。
飲み薬1剤で平均0.8%くらい低下すると一般に言われていますので、すさまじい効果ですね。
GLP-1受容体作動薬が十分に効くかどうかは、患者さんのインスリン分泌能により異なる。
ただし、GLP-1受容体作動薬の効果は、患者さんが持っている、もともとのインスリン分泌能によって、大きく異なってきます。
インスリン注射と違って、患者さんのすい臓から分泌されているインスリンを利用して(より多く分泌させて)、効果を発揮するので、そもそも分泌する力がかなり落ちている患者さんではあまり効果が期待できません。
その方法とは、インスリン注射と併用することです。
足りないインスリンを注射で補いつつ、GLP-1受容体作動薬を使用すると、注射するインスリン量は最低限に抑えられ、(詳細は割愛しますが)GLP-1受容体作動薬の効果も最大限得られますので、この2者はベストパートナーです。
このため、昨年頃よりインスリンとGLP-1受容体作動薬を混合させた製剤がいくつか使えるようになっています。
オゼンピックとビクトーザ(持続型インスリン:1日中効いているインスリン)が1本になった「ゾルトファイ」、リキスミアとグラルギン(持続型インスリン)が1本になった「ソリクア」などがあります。
ただし、2種類の薬剤を自分で混ぜるわけではなく、混合された製剤が使用できるだけなので、その配合比率が決まっているのが難点です。
患者さんによって、ちょうどよい比率であれば1本で済むのでラッキーですが。
マイルドな効果のGLP-受容体作動薬は必要ない?
青字で示した薬剤は、消化器症状(ムカムカ、下痢、便秘など)の副作用が出現しやすく体重減少効果も強いです。
若い、肥満の患者さんでは、体重が減ることで血糖値も低下しますので望ましいのですが、高齢の患者さんや、正常~やせの患者さんでは、体重が極端に減ることで筋肉が減って体力が低下してしまう危険性があります。
このため、GLP-1受容体作動薬の良い効果も得られ、副作用も出現しにくいマイルドな効果の薬剤が、その患者さんにあっている場合もあります。
リベルサスは、初の経口GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬は消化管からの吸収が難しく、内服薬としての開発が難しかったのですが、今回SNACという吸収促進剤を添加することによりその問題をクリアしたリベルサスが使用できるようになりました。
正しい用法で内服すれば、血中濃度は注射薬であるオゼンピックと同等のレベルまで上がることがわかっていますので、効果も注射薬と同等に期待できます。
ただし、飲み方がちょっとややこしくて、起床時(空腹時)に120mL以下の水で内服後、最低30分間はなにも飲んだり食べたりできません。
もし、薬を飲んだ後に食べたり飲んだりしてしまうと、やや効果が減弱する、というレベルではなく、ほとんど効かなくなってしまいます(吸収されないので)。
注射に抵抗がある人にはおすすめですが、飲み方の制約に注意が必要です。
(なお、2021年11月までは1回の診察で2週間分までしか処方できません)
短時間型と長時間型のどちらがおすすめ?
ピンクの枠が長時間作用型、黄色の枠が短時間作用型であり、効果が異なります。
長時間作用型は、食前血糖と食後血糖をまんべんなく下げる作用、短時間作用型は食後血糖を強力に下げる作用です。
どちらも、強い血糖改善作用を持っているのですが、最近の流れとしては、長時間型の製剤が多く使用されています。
このため、最近の糖尿病の治療の流れとしては、心血管疾患から患者を守る(プラスアルファ血糖を下げる)目的で、GLP-1受容体作動薬を使用することも増えています。
つまり、そこまでHbA1cが高くなくても、糖尿病患者さんの心臓を守る目的でこれらの薬剤を使用する場合があるのですね。