インスリンポンプにおける超・超速効型インスリン(フィアスプ、ルムジェブ)の効果と注意点は?

新しいインスリンが使えるようになっていますね!
どちらのインスリンも、ペン型インスリンだけでなく、インスリンポンプにも使用できるインスリンです。
Gajigaji Dr
Gajigaji Dr

”食後血糖が急激に上がってしまうけど、食事のときのボーラスを増やすと、次の食事前に低血糖になってしまう…”

とお悩みの方などには、ぜひ試していただきたいインスリンです。

ポンプユーザーにおけるルムジェブ、フィアスプのメリット

メリット1:食後の血糖上昇のスピードに負けません

食後の急激な血糖上昇が抑えられる!

当然、この効果が期待できますね。

ちなみに、日本人を対象にした研究によると、

フィアスプは、同メーカーの超速効型インスリンであるノボラピッド(ノボノルディスク社)に比べて5分ほど早く、ルムジェブは、同メーカーの超速効型インスリンであるヒューマログ(イーライリリー社)に比べて6分ほど早く、効果を発揮することが報告されています。

メリット2:早めのボーラスが不要になるかも

ボーラスインスリンの効果が食後の血糖上昇のタイミングに間に合うように、食事の10-20分前にボーラスしていた方にとっては、早めのボーラスが必要なくなるかもしれません

ボーラスしてから10-20分待つのって、結構大変ですよね…

ポンプユーザーにおけるルムジェブ、フィアスプの注意点

注意点1:変更後しばらくは血糖値の乱れに注意

特に、変更後しばらくは、新しいインスリン製剤を使い慣れていないことによる一時的な血糖値の乱れに注意が必要です。

「早く効いて、切れが良い」のですが、今までのインスリン製剤に合わせたポンプ設定になっていることもあり、フィアスプやルムジェブへの変更により、一時的には、逆に血糖値が乱れてしまうこともあります。

Gajigaji Dr
Gajigaji Dr
いつものようにボーラスや補正インスリンを行っても、下がり方が今までと違うので、その特徴に慣れるまでは少し扱いにくいかもしれません。

注意点2:食後(ボーラス後)1~3時間の血糖はよく抑えられるが、その後血糖値が上がってしまう

新しいインスリンの作用時間は短いので、食後(ボーラス後)3時間ほどでインスリンがサクッと切れます。

この作用時間の短さが、次の食事までの低血糖が起こりにくくなるというメリットにつながります。

一方で、切れが良いため、基礎インスリンが足りなかったり、脂っこい食事で血糖値が高めに推移している時は、ボーラス後のインスリンが切れたタイミングで血糖値が上昇してきます。

このため、基礎インスリン設定の見直しや、脂っこい食事時の対応が必要になる場合があります。

患者さんによっては、新しいインスリンに合わせた設定の変更が必要になるんだね。
モッさん
モッさん

注意点3:補正インスリンを行うと、タイミングによってはすごい勢いで血糖値が下がってしまう。

今までのインスリンでも、血糖値が上がり切ってプラトーになっている時や、下がり始めている時に補正インスリンを入れると、急激に血糖値が下がった!ということを経験したことはないでしょうか?

新しいインスリンは、さらに効果発現が早いので、こういうタイミングで補正インスリンを入れると、血糖値が急降下することがあります。

ちょっとヒヤヒヤする?
モッさん
モッさん
Gajigaji Dr
Gajigaji Dr
大丈夫です。

超・超速効型インスリンも、今までの超速効型インスリンと力価は同じ(1単位の強さは同じ)なので、さらに下がりやすくなるということはありません

 

また、補正インスリンがはやく効くということは、メリットでもあります。

Gajigaji Dr
Gajigaji Dr
補正インスリンを打ってもなかなか下がらず、短い間に何回も補正インスリンを打ってしまい、数時間経ってから、何回も打ったインスリンがまとめて効いてしまって低血糖になってしまうことってありませんか?

比較的速やかに効いてくれる超・超速効型インスリンであれば、このリスクが減る可能性がありますね。

注意点4:SAPユーザーでは、低血糖前にインスリン注入が中断(PLGS:Predictive low-glucose suspend)されると、そのあと爆上がりしてしまう

これは、従来のインスリンでも起こっていた現象です。

低血糖になった後は、生体の反応により高血糖になりやすいですが、低血糖前にインスリン注入が中断されて低血糖が回避されても、基礎インスリンが一定時間止まっていたことにより、その後急激に血糖値が上がってしまうことがあります。(毎回ではないのですが)

注入中断を早めに解除すること、血糖が上がり始めたら少量のボーラスをすることなどで対応しますが、超・超速効型インスリンでは、その上がり方が早い印象があります。

しかし、超・超速効型インスリンでは、インスリンが中断されればインスリン作用もより早く失われるので、さらに低血糖になりにくいというメリットもあります。

これらの注意点は、インスリン設定の見直しと、新しいインスリンの特徴を知って、慣れていくことで徐々に解決します!

注意点5:消化管の運動障害がある(食べ物の消化が悪い)人では、逆効果

消化機能が低下している人が、これらの新しいインスリンに変更すると、食事の時に、ボーラスしたインスリンが血糖上昇のタイミングよりも早く効いてしまい、食後すぐの低血糖を起こしてしまう場合があります。

糖尿病の合併症が進んでいる人では、消化管機能が低下して、食べ物の消化が悪くなっている場合があります。

合併症が進んでいなくても、食後の血糖上昇がゆっくりな場合やご高齢の方の場合は、変更したほうがよいか、今のままのインスリンがよいか、よく考えて使うことが重要ですね。

注意点6:ルムジェブはちょっと痛い

ルムジェブはちょっとだけ痛いです・・

 

まる
まる
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超・超速効型インスリンについて、さらに詳しく解説しています。